考古調査士資格認定機構


機構長ご挨拶

機構長小林達雄  文化庁の統計では、日本全国で毎年8000件以上の発掘調査が行われているといいます。この中には学術的の発掘調査も含まれますが、大多数は道路建設など公共の施設、建設に関わるもの、あるいは民間の住宅建設などに関わる事前調査によるものです。
 人々の営みには開発が付き物です。開発に当たっては、事前に埋蔵文化財の発掘調査を実施することが法令化されており、記録に留めて保存措置をとることが定められています。文化財保護の立場から見ると、年間10000件近くの遺跡が発掘調査されて、調査後には大部分が破壊される運命を背負っていることは、決して好ましいことではありません。だからこそ、記録保存による発掘調査は体系だった技術と知識に支えられたものでなくてはなりません。
 また調査成果を報告書としてまとめ、広く社会に還元して活用するには、正確で正しい一連の知識と技術が必要になります。したがって、それらの職務には高い専門性が必要です。事実、これらの埋蔵文化財調査で活躍するのは、いうまでもなく大学などの研究・教育機関で専門的に勉強してきた人たちです。
 従来、埋蔵文化財調査に関しては、「資格」は必要ではありませんでした。しかし、これからは、信頼性を社会に対してアピールして行かないことには信頼を得ることは難しくなってきました。考古学者と同じように、国民の皆さんが埋蔵文化財に理解があるとは限りません。そのためには専門性を保障する明らかな証拠が必要です。資格は正にそのような社会からの要請に応えるものといえます。考古調査士資格認定機構は、埋蔵文化財調査に携わる将来の専門家たちに対して、大学機関などで勉学した証として、資格を認定して、資格を与える機関です。
 現在早稲田大学など14大学が加盟して考古学調査としての専門教育を行っております。できるだけ多くの大学が参加し、社会からの要請と信頼に応えられるようにして行きたいと考えております。